発想記号 Italian

Vezzoso

ヴェッツォーゾ

愛らしく、媚びるように、可憐に。dolce(甘さ)が蜜ならvezzoso は小鳥のさえずり——意図した可愛らしさと軽やかな誘いが核心だ。grazioso(優雅に)より小さく親密で、carezzando(愛撫するように)より身軽。音楽が聴衆を引き寄せるために意識的にかわいらしく振る舞う、甘美な小技の語だ。

grazioso との違い

grazioso(優雅に)は上品で洗練された優雅さ——バレエの所作のような自然な気品だ。vezzoso はそれより意識的な魅力の演出がある。grazioso が生まれながらの優美さなら、vezzoso は可愛らしさで人の気を引こうとする「媚び」の意志——ロココ絵画の愛らしい身振りに近い。どちらも軽やかで柔らかいが、vezzoso には目を瞬かせるような計算がある。

語源

イタリア語 vezzo(癖・習慣・魅力・首飾り・甘え)から派生した形容詞 vezzoso(愛らしい・媚びる・可憐な)。vezzo の語源はラテン語 vitium(欠点・癖)から派生したとも、あるいは vitiate(乱す)と関連するとも言われる——「愛らしい癖」が語の本質だ。英語に直訳可能な語はなく、「coquettish」や「cute」が近い。

演奏上の意味

vezzoso の演奏では、フレーズの端々に小さな軽やかさを持ち込む。スタッカートは刺さらず弾む——指先で触れてすぐ離すような軽さ。強弱の変化は大きくなく、piano の中でさらに柔らかい局所的なグラデーションがある。フレーズの末尾をわずかに落として引き取る「名残惜しさ」が効果的だ。全体として「聴衆に向かって微笑む」演奏態度が求められる。

ロココ音楽との結びつき

vezzoso は18世紀のロココ様式に特に親和的な語だ。古典期のピアノ・ソナタやセレナードには vezzoso と指示されていなくとも vezzoso な楽節が随所に現れる。19世紀のワルツや夜想曲の特定のパッセージにもこの性格を見出すことができる——装飾音や小さなトリルが vezzoso の文脈で機能する。