Con dolore
コン・ドローレ
定義
苦しみをもって、痛みを帯びて、悲痛に。身体的・精神的な苦痛を音に込める指示。lacrimoso(涙ながら)が悲しみの表面を示すとすれば、con dolore は内側に刻まれた痛みそのものを指す。
doloroso との関係
doloroso(苦痛に満ちた)は同語根の形容詞で、音楽の性格を描写する。con dolore は前置詞句として「苦しみとともに演奏せよ」という指示の形をとる。doloroso が音楽全体の色調を規定するのに対し、con dolore はある特定のフレーズや音型に対して苦痛の感情を込めるよう求める局所的な指示として機能することが多い。
語源
ラテン語 dolor(苦痛・悲しみ)から。dolere(痛む・苦しむ)が動詞語根。英語 condolence(弔慰)・dolorous(悲痛な)と同語源。イタリア語 dolore は身体的な痛みにも精神的な苦しみにも使われる。音楽では後者——喪失・悲嘆・苦悩の感情——が主に意図される。
lamentoso・lugubre との違い
lamentoso(嘆き悲しむ)は声に出して嘆く、外向きの悲しみ表現。lugubre(陰鬱に)は暗く重い雰囲気を指す。con dolore はその中間——嘆きを外に出すというより、痛みを内側に抱えながら演奏する感覚に近い。音量が大きくなることも小さくなることもあり、表面の音量より感情の深度が問われる。
弦楽器での表現
弓圧をやや高め、弦への食い込みを深くすることで、音に「重さ」と「引っかかり」を加える。音の発音を柔らかくしすぎず、わずかな緊張感を音の始まりに残すことが、痛みの質感を作る。ヴィブラートは速くするより幅を深くする方向が多い——揺れではなく「うめき」の感覚を目指す。