発想記号 Italian

Lugubre

ルーグブレ

陰鬱に、葬儀のように、暗く重く。lamentoso(嘆きながら)・doloroso(苦しみながら)より暗さと重さの質感が際立つ——死・葬儀・弔いと直接結びついた感情の色。光のない、前進できない、重力に引かれる音楽の性格を求める指示だ。

mesto / doloroso との違い

mesto(哀愁をもって)は個人的な悲しみの色調——内側に向かう感情。doloroso(苦しみながら)は痛みの重さ——身体的な苦痛に近い感覚。lugubre はそれより集合的・儀礼的な暗さ——弔いの行列、墓地の空気、鐘の音。一人の悲しみより「死に直面した人間の共同体」の重さを感じさせる。

語源

ラテン語 lugubris(悲しみに満ちた・喪の)——lugere(嘆き悲しむ・喪に服する)に由来。英語 lugubrious(陰鬱な・悲しげな)と同語源。ローマの弔いの儀式で使われる形容詞で、「喪服」「喪の音楽」を指す言葉だった——その語義が音楽指示語として継承された。

演奏上の意味

テンポは重く引きずるように、音の立ち上がりは遅く。弦楽器では弓を駒寄りにゆっくり動かし、音に密度と暗さを持たせる。倍音を豊かに鳴らすより、基音を重く前景化する。スタッカートは使わず、音はなるべく繋いで重さを蓄積させる。葬儀の行列が一歩一歩進むような、呼吸が遅い演奏。

葬送行進曲との関係

「ピアノソナタ第2番」第3楽章・「英雄交響曲」第2楽章・「ジークフリートの葬送行進曲」——これらはいずれも lugubre 的な性格を持つ。葬送行進曲(Marcia funebre)のジャンルそのものが lugubre の音楽化だ。音楽が人を見送る場所で機能する語。