Stretto
ストレット / ストレッタ(女性形)
主題が
重なり合うstretto = narrow/close
重なり合うstretto = narrow/close
定義
フーガで一声部が主題を終える前に別の声部が同じ主題を開始する技法。主題が「重なって」入ることで緊張と密度が増す。また一般的に「だんだん速く締めつけるような」終結部の意でも使われる。
フーガにおけるstretto
通常のフーガでは各声部が主題を順に提示し、前の声部が終わってから次が入る。strettoでは前の声部が主題を奏している途中に次の声部が入る。これにより音楽が「詰まった」「積み重なった」感じになり、クライマックスに向けた緊張を生む。バロック期のフーガはこの技法を極めており、複数のstrettoが段階的に密度を増していく。
「stretto ma non troppo」の意味
速度指示としてのstrettoは「急き込むように・締めつけるように」徐々に速くなる指示。「stretto ma non troppo(あまり急き込みすぎずに)」のような修飾も見られる。アーティキュレーションも詰まった感じになる。フーガ用語としてのstrettoと速度指示としてのstrettoは同じ語だが、それぞれ別の文脈で使われる。
演奏者への影響
フーガのstretto部分では自分のパートが他声部とどの間隔で重なるかを意識することが大切。前の声部の主題がどこまで進んでいるかを耳で追いながら自分の入りを決める。この「追いかけ」の感覚が聴衆にも伝わることで、strettoの効果が生まれる。主題の最初の数音は特にはっきり出す。
語源と用例
イタリア語 stretto(狭い・きつい・絞られた)。形容詞 stretto は「細道・海峡」の意もある(ジブラルタル海峡はイタリア語でstretto di Gibilterra)。音楽での使用はバロック期のフーガ技法から。古典・ロマン派のソナタ形式の展開部にもstretto的な手法が見られる。