奏法記号 Italian

Legato

レガート

スラー記号

音と音をなめらかにつなげて演奏する奏法。音と音の間に隙間を作らない。

楽器ごとの実現方法

弦楽器:スラー記号が示す音群を一弓(ひとはけ)で弾く。弓を返す場合も音が途切れないよう移行を滑らかにする。左手の指替わりでも音を切らない。

管楽器:タンギング(舌による発音)を使わず、息だけで音をつなぐ。音の変わり目に舌が介入しないことが条件。

ピアノ:次の音を弾く直前まで前の音の鍵盤を離さず、指を重ねるようにつなぐ。ペダルに頼りすぎるとlegato感が失われる。

語源と本来の意味

イタリア語 legato(結ばれた・縛られた)。動詞 legare(縛る・つなぐ)の過去分詞。英語の「ligature(連結)」「ligament(靭帯)」と同語根。音符同士を「縛りつけて」離さないというイメージが語源に凝縮されている。

スラーとレガートの違い

スラー(弧線記号)はlegatoの指示記号だが、スラーが書かれていなくてもlegatoで演奏する場面は多い。特にロマン派・印象派以降の楽譜では「legato sempre(常にレガートで)」の指示が冒頭に一度書かれるだけで、スラーは省略されることがある。スラーとlegatoは指示と奏法の違いであり、同義ではない。

対義語との関係

対義語はstaccato(音を短く切る)とdetaché(弓を弦からわずかに離す弦楽奏法)。その中間にportato(音をつなぎながらも各音を軽くアクティベートする)がある。legatoとstaccatoの間のグラデーションを制御することが弓法・指法の根幹をなす。

Chopin

ノクターン第2番 変ホ長調 Op.9-2

右手旋律 — 完全なlegatoが前提

Brahms

ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77

第2楽章 — 歌うような弦のlegato

Mozart

クラリネット協奏曲 イ長調 K.622

第2楽章 — 管楽器のlegato奏法の教科書

Bach

無伴奏チェロ組曲 第1番 BWV1007

Prélude — 一弓での広音域legatoの要求