装飾音 English / Italian

Grace Note 前打音

グレースノート / まえうちおん

𝆹 小さな音符

主音の直前に素早く演奏する小さな装飾音。楽譜では通常より小さい音符(しばしば斜線付き)で記される。

アッポジャトゥーラとアクシアキャトゥーラ

アッポジャトゥーラ(appoggiatura):主音の音価の半分(または3分の2)を取る「長前打音」。主音に寄りかかるように時間をかけて入る。バロック〜古典期の楽譜では普通の音符と同じ大きさで書かれることも多く、現代奏者が「これは装飾音か?」と迷う原因になる。
アクシアキャトゥーラ(acciaccatura):素早く通過する「短前打音」。斜線付きの小音符で書かれ、拍の頭より前に(または頭ぴったりに)瞬間的に弾いて主音へ移る。

拍の前か後か — 時代と流派による違い

バロック期:前打音は拍頭に乗せて演奏し、主音の音価を借りる(拍上奏法)。
古典・ロマン派以降:前打音を拍の直前に素早く通過させ、主音が拍頭に来る(拍前奏法)が一般的に。ロマン派のグレースノートは後者が基本。Mozartのアッポジャトゥーラをどちらで弾くかはいまだに演奏解釈の論点になる。

弦楽での実現

弦楽では前打音をスラーに含めることが多く、滑らかに主音へつなぐ。スラーがない場合は別弓で素早くアタックするか、弓の先端を使って軽く弾く。ピチカートでのグレースノートは弾き分けが難しく、特に低弦では「音が全部聞こえない」ことも許容される場合がある。

ジャズにおけるグレースノート

ジャズやポピュラー音楽では、ブルーノート(♭3、♭5、♭7)へのグレースノートがイディオマティックなフレージングの核心をなす。半音または全音下から滑り込む「ベンド」的なアプローチで、クラシックの装飾概念とは別の文脈で発達した。

Chopin

バラード第1番 ト短調 Op.23

拍前に素早く通過するグレースノート群

Mozart

ピアノソナタ第11番 イ長調 K.331

変奏曲 — アッポジャトゥーラの解釈が問われる

Liszt

ハンガリー狂詩曲第2番

素早いグレースノート連打による民族的効果