Mordent
モルデント
定義
モルデント。音をチリッと噛み破るアクセント。省略した瞬間に、フレーズに仕込まれた「瞬発的な推進力」の意味が消える。
一般的な解釈
モルデント(かみつき)は主音から**下の装飾音への往復**。トリルよりも短く、一度だけの咬みつき。リズムを緊張させ、旋律に生き生きした躍動感を与える。
語源と本来の意味
イタリア語・フランス語 mordente(かみつく・咬む)に由来。ラテン語 mordere(噛む)の現在分詞。楽譜記号は斜線が付いた波線で表記される。
装飾パターン図
演奏者視点での使用感覚
モルデントは**素早さと正確さが命**。主音から下の音への移行をハッキリ聞かせながらも、全体としてまとまった一つの単位に聞こえるべき。弦楽器では短い指の動き、ピアノでは連続した指の上下が必要。
楽曲における役割
バロック時代のリチェルカーレやガヴォットで多用。古典派では主旋律を引き立たせるための点線的な装飾。ロマン派でも素朴な可愛らしさを演出する場面で重宝される。
代表的な用例
Bach
フランス組曲第5番 ガヴォット
バロック装飾の典型。リズムを引き締める掛け声的な役割
Mozart
ソナタ K.545 第1楽章
古典派の明快さを保ちながら装飾を施す
Schumann
子どもの情景「トロイメライ」
ロマンティックなメロディの素朴な装飾として機能