Turn
ターン
定義
ターン。音の周囲を優雅に周回するドラマ。省略した瞬間に、和声の歪みや「官能的な陰影」の意味が消える。
一般的な解釈
ターン(回転)は4音の**優雅な円形の運動**。上で述べたすべての装飾の中で最も「旋律的」。音楽の流れを一瞬「つぶやく」ように装飾する、ロマンティックで洗練された効果。
語源と本来の意味
フランス語 tour(回転)、イタリア語 giro に相当。「回る・巡る」という意味が名詞化された。18世紀フランス・クラヴサン奏法で定着。楽譜記号は「∿」。
装飾パターン図
演奏者視点での使用感覚
ターンは**流れの中での自然な回転感が命**。上の音で引っかかったり、下の音で着地したりすると、装飾ではなく「もじゃもじゃ」に聞こえる。一呼吸で円滑に通す技巧が必要。
楽曲における役割
古典派ソナタ形式の第一主題の頂点や、セクション間での「つなぎの呟き」として機能。ロマン派では夜想曲やバラードで洗練されたメロディックな装飾。弦楽器・管楽器の表現力を拡張する重要な手段。
代表的な用例
Haydn
ソナタ Hob.XVI-35 第1楽章
古典派の透明感を保ちながら、優雅な装飾が流麗性を生む
Chopin
ノクターン第1番 変ロ短調 Op.9-1
ロマンティックなメロディの要所に現れる洗練されたターン
Brahms
ラプソディ Op.79-1
感情的な旋律の装飾として機能