和声・理論English / Italian

Figured Bass

フィギュアード・バス / 数字付き低音(すうじつきていおん)

6
4
和音指示記号

バロック期の通奏低音記譜法。低音声部の音符の下に数字を書き、演奏者がその数字から和音を即興的に実現する。

数字の読み方

数字は低音音符からの音程を示す。「6」は低音から6度上の音を加えよ(第1転回形)、「6/4」は6度と4度(第2転回形)、「7」は7度を加えよ(属七和音など)。数字がなければ通常の三和音(根音位置)。シャープ(♯)やフラット(♭)、スラッシュ(音程を半音上げる)も使われる。

通奏低音(Basso Continuo)との関係

バロック期の演奏実践では、チェンバロ・オルガン・リュートなどの「和音楽器」が低音奏者(チェロ・ファゴット・コントラバスなど)と組んで通奏低音パートを担う。和音楽器の奏者は figured bass を読んで即興的に和音を実現し、独奏者や合唱を支えた。これが17〜18世紀の室内楽・オペラ・オーケストラの根幹を成す奏法。

HIP(歴史的演奏実践)での重要性

現代のバロック演奏では、figured bass を読める奏者は珍しくない。チェンバリストやオルガニストは楽譜から和音を実現するだけでなく、声部の数・音型・装飾の入れ方まで文脈に応じて即興する。「数字を正確に実現する」だけでなく「声部の動きが自然か」「旋律声部と重複しないか」を判断する知識が要る。

現代への影響

ジャズのコードシンボル(C△7, Dm7, G7)は figured bass の現代版とも言える。低音(根音)の上に積む音程を数字で指定する発想は同じで、演奏者が文脈に応じてボイシングを選ぶ自由を与える。バロック通奏低音とジャズのコンピングは、「指定より大切なのはセンス」という点で同じ文化に属する。

Bach

ブランデンブルク協奏曲 BWV1046–1051

通奏低音部 — figured bass の実践

Handel

メサイア HWV56

通奏低音が全体を支える

Corelli

合奏協奏曲集 Op.6

figured bass 演奏実践の典型