発想記号 Italian

Stridente

ストリデンテ

甲高く鋭く、きしむように。金属が擦れ合う・ガラスが割れる・高周波の鋭い音——耳を刺すような音色を意図的に求める語だ。strepitoso(騒々しく)が音量的な喧騒なら、stridente は音色的な鋭さ——高音域の金属的な輝きが演奏者の気力と組み合わさって生まれる、意図的に「耳障り」な音の質感だ。

acuto との違い

acuto(高く鋭く)は単純な高音域の指示——音の高さ・ピッチの鋭さを指す。stridente はそれより広い意味を持ち、音色の不快な鋭さが核心だ。高音域でなくても stridente にはなりえる——中音域でも金属的で耳を刺すような音色は stridente だ。また、協和音でも stridente の音色はありうる——音程の問題ではなく音色の問題だ。

語源

ラテン語 stridere(きしる・ギーギー鳴る・鋭い音を立てる)の現在分詞形——「きしりながら」。英語の strident(甲高い・耳障りな)と同語源。ラテン語 stridere は金属の摩擦音、蛇のシューという音、蝉の鳴き声など高周波の継続音を広く表した動詞だ。

演奏上の意味

弦楽器では駒寄り(sul ponticello)で弓を運び、金属的・ガラス的な音色を引き出す。弓圧を高めて速く動かすことで倍音の中の高次成分が前に出る。管楽器では息の圧力を高め、マウスピースを強く締めることで鋭い倍音を増やす。声楽では明るい響きの母音(イ・エ)を強調し、声を前に出す。音楽的「美しさ」を一時的に犠牲にして表現効果を優先する。

20世紀音楽での用法

stridente は古典派・ロマン派では稀だが、20世紀音楽——表現主義・前衛音楽——で用いられる。「美しい音を出す」という美学的前提を意図的に崩す語として機能し、不快感・恐怖・皮肉を音楽的に表現するための語だ。