発想記号 Italian

Scorrevole

スコッレーヴォレ

流れるように、すらすらと、滑らかに流れる。音と音の間に滞りがなく、音楽が止まることなく前へ流れ続ける状態——川の水が岩を避けながら絶えず流れるような自然な動きを求める語だ。leggiero(軽やかに)と組み合わさって現れることが多い。

leggiero との違い

leggiero(軽やかに)は音の「重さ」に関する語——軽く、浮いている質感が核心だ。scorrevole は音の「流れ」に関する語——途切れない連続性が核心だ。scorrevole な音楽は必ずしも軽くなくてよい——重い音でも流れ続けることはできる。ただし実際の用法では両者はよく重なり、軽やかで流れる音楽の性格として一緒に求められることが多い。

語源

イタリア語 scorrere(流れる・滑る・流れ過ぎる)の形容詞形——「流れるような・すらすらとした」。ラテン語 excurrere(走り出る・流れる)に由来し、同根語に correre(走る)がある。英語に直接の対応語はないが「fluent」(流暢な)や「flowing」(流れるような)が近い。走り回るような水の流れが語の本質的なイメージだ。

facile との違い

facile(易しく・自然に)は「困難なく」の含意——熟練した技巧が難しさを見せないで自然に見える状態だ。scorrevole は流動性——音楽が止まらずに前へ進む性質だ。facile の演奏は「楽に見える」演奏であり、scorrevole の演奏は「流れる」演奏だ。技術的な観点(facile)と音楽的な流れ(scorrevole)の違いと言える。

演奏上の意味

scorrevole の演奏では、フレーズ内の音符が自然な推進力で前に進む。スタッカートは避け、音と音の間に呼吸を置かない。パッセージ全体が一本の糸のように繋がる感覚——ピアノでは指が鍵盤を離れる前に次の鍵盤を押す重なりを意識する。特に速いパッセージ——音階・アルペジオ・スケール的なランで scorrevole の指示が使われ、粒が揃いながら流れる演奏を求める。