Recitativo
レチタティーヴォ
定義
言葉のリズムに従って語りかけるように歌うオペラ・オラトリオの様式。アリアと対をなし、物語の進行や登場人物の対話を担う。
レチタティーヴォ・セッコとアッコンパニャート
secco(セッコ:乾いた):チェンバロやオルガン+チェロのみの最小限の伴奏。和音を短く弾いて終わり、声部の自由なテンポを支える。バロックオペラ・カンタータの対話場面に多い。
accompagnato(アッコンパニャート:伴奏付き):管弦楽全体が伴奏につく。より感情的で劇的な場面に使われ、のちのオペラではこちらが主流になっていく。
語源と本来の意味
イタリア語 recitativo(朗唱するもの)。動詞 recitare(暗誦する・演じる)の派生語。ラテン語 recitare(読み上げる)から。「台詞を語るように歌う」という行為が語源に含まれており、音楽より言葉(テキスト)が主導権を持つことを示している。
器楽曲における「レチタティーヴォ風」
器楽曲に「recitativo」と指示がある場合、自由なリズムで語りかけるように演奏することを求める。Beethovenのピアノソナタ第17番「テンペスト」第1楽章やChopinの幻想即興曲に見られる。伴奏が止まり、独奏者が語り始める孤独な瞬間。
演奏者の視点
レチタティーヴォを伴奏するとき、最大の課題は「歌手のテンポに付いていくこと」。seccoでは歌手が終止の和音を弾く合図を出す(フレーズ末の最後の音を引き伸ばす、など)のを見てから和音を鳴らすのが原則。指揮者なしでの合わせはアイコンタクトが決め手になる。
代表的な用例
Bach
マタイ受難曲 BWV244
福音書記者のrecitativo — 物語の骨格
Mozart
ドン・ジョヴァンニ K.527
劇的なrecitativo accompagnato
Beethoven
交響曲第9番 ニ短調 Op.125
第4楽章冒頭 — 器楽によるrecitativo