Aria
アリア
定義
オペラ・オラトリオ・カンタータにおける独唱の叙情的楽曲。感情の表現に重点が置かれ、管弦楽の伴奏を伴う。レチタティーヴォとセットで用いられることが多い。
アリアとレチタティーヴォの対比
レチタティーヴォ:語り口調で物語を進める朗唱。叙事的・劇的な情報伝達が目的。
アリア:感情の「時間を止めて」表現する叙情詩。物語は進まないが、登場人物の内面が深く掘り下げられる。バロックオペラでは「レチタティーヴォで状況を語り、アリアで感情を歌う」という約束事が成立していた。
語源と本来の意味
イタリア語 aria(空気・旋律・雰囲気)。ラテン語 aer(空気)に由来。元来は「旋律的な歌」全般を指す言葉で、17世紀に声楽形式として特化した。英語の air(歌・旋律)も同語根。「空気のように自然に流れる」という感覚が語源に込められている。
ダ・カーポ・アリア
バロック期に確立された A-B-A 形式のアリア。AとBの二部構成の後、冒頭のAに戻る(Da capo)。戻った際に歌手が即興的な装飾(コロラトゥーラ)を加えることが慣例で、歌手の技巧を見せ場とした。Handel のオペラ・オラトリオがこの形式の代表例。
器楽アリア
アリアは声楽だけでなく器楽曲にも使われる。Bachの「管弦楽組曲第3番」のアリア(G線上のアリアとして有名)は弦楽の歌うような旋律が特徴。「アリア風に」という指示で器楽奏者に歌うような音色と息の長いフレージングを求める場合がある。
代表的な用例
Bach
マタイ受難曲 BWV244
「憐れみたまえ、わが神よ」— アルトのアリア
Mozart
魔笛 K.620
「夜の女王のアリア」— コロラトゥーラの極致
Handel
メサイア HWV 56
「彼はさげしめられ」— アルトのアリア
Bach
管弦楽組曲第3番 ニ長調 BWV1068
Aria — 「G線上のアリア」として有名