Con spirito
/ kon ˈspiriːto /
コン・スピーリト
定義
「精神を込めて、生き生きと」。spirito(精気、活力)とともに。 外に向かって弾けるような明るいエネルギーが特徴で、 重さや粘りを嫌い、軽快さの中に生命力がある演奏を求める。
con animaとの違い
どちらも「活力」に関わるが方向が異なる。 con animaは内に向かう魂の動き—— 演奏者が自分の内側に潜り込んで音楽と向き合う感覚。 con spiritoは外に向かって弾ける生命力—— 音楽が聴衆に向けて飛び出していく感覚。 con animaは深く静かな情熱、con spiritoは明るく軽い活気。 フィナーレ楽章にcon spiritoが多く、 緩徐楽章にcon animaが多い傾向はこの性格の違いから来ている。
古典期の用法
この時代のcon spiritoは「テンポを弛めず、明快で切れのある演奏」を意味することが多く、 重さや粘りは禁物。 アクセントが決まり、音の粒が揃い、 そして軽さの中に確かな推進力がある—— それが古典派のcon spiritoが求める理想だ。
語源
ラテン語 spiritus(息、呼吸、魂)に由来。 英語の spirit(精神)、inspire(インスパイアする、息を吹き込む)と同語源。 「音楽に息を吹き込む」という行為が そのままcon spiritoの意味に重なっている。 animaが「深い魂」なら、spiritoは 「外に出ようとする生命力」—— 同じ「息」から派生しながら、異なる方向を向いた二語だ。
リズムと推進力
con spiritoが出る時、演奏者が意識すべきは「前に進む力」だ。 拍の裏に軽いアクセントを感じ、 フレーズが常に次の小節へ向かおうとする意志を持つ。 舞踊的なリズムと親和性が高く、 メヌエット、スケルツォ、ロンドなど 動きのある形式と組み合わせて使われることが多い。 音が弾まなければ、con spiritoではない。
代表的な用例
Haydn
ピアノソナタ ホ短調 Hob.XVI:34
フィナーレのcon spiritoが古典派の軽快さを体現する
Mozart
ピアノ協奏曲 第21番 K.467
第3楽章のcon spirito感——弾む推進力の模範
Beethoven
ヴァイオリンソナタ 第5番「春」Op.24
第4楽章 — con spiritoの春の軽やかさ
Scarlatti
ソナタ集(各種)
con spiritoが暗に要求される軽快なパッサージュの宝庫