発想記号 Italian

Con amore

コン・アモーレ

愛情をもって、愛を込めて。音楽そのものへの深い愛着と、演奏する行為への献身を音に込める指示。テクニック的な正確さより、音への愛情と温かさが優先される。

演奏上の意味

con amore は感情の種類を特定しない広い指示だ。恋愛的な愛(eros)だけでなく、音楽への愛(amor artis)、演奏者としての使命感、聴衆への思いやりまでを含む。演奏上は、フレーズの一音一音に注意を払い、急ぎすぎず、音の終わりまで丁寧に扱うことが基本姿勢になる。音を「消費」するのではなく、大切に「扱う」感覚。

語源

ラテン語 amor(愛)に前置詞 con(〜とともに)が付く。amor はラテン語 amare(愛する)から。英語 amorous(愛情深い)・フランス語 amour(愛)と同語源。イタリア語では「愛情」「情熱」「親愛の情」を広く指し、音楽では演奏への深い関与と献身を意味する。

amoroso との違い

amoroso(愛情深い・恋愛的な)は形容詞として音楽の性格を描写する。con amore は前置詞句として「〜をもって演奏せよ」という指示の形をとる。amoroso がより甘くロマンティックな色調を帯びるのに対し、con amore は広く「愛情と献身」を求める——親しみと丁寧さを含む、より包括的な指示だ。

日常語としての用法

イタリア語の日常表現「fare qualcosa con amore」(何かを愛情をもってする)に由来し、音楽用語として転用された。職人が丁寧に仕事をする時の姿勢——急がず、手を抜かず、対象への敬意をもって——というイメージが根底にある。音楽では技術ではなく態度の問題として機能する。