Capriccioso
/ kaˌprittʃˈoːzo /
カプリッチョーゾ
定義
気ままに、気まぐれに。予測不可能な自由奔放さをもって演奏せよ。楽譜に忠実であることと、capricciosoであることは矛盾しない。
scherzandoとの違い
scherzandoが「冗談めかした」機知のある表現なら、capricciosoはより突発的で予測不可能だ。scherzandoには構造があるが、capricciosoは構造から逸脱する衝動を持つ。気まぐれに方向を変え、急に速くなったり遅くなったり、突然強くなったりする——その「驚き」が capricciosoの本質だ。
語源と本来の意味
イタリア語 capriccio(気まぐれ・突飛な発想・カプリス)から。語源については「ヤギ(capra)が突然跳び上がる」という民間語源(folk etymology)が有名だが、確証はない。それでもヤギの予測不可能な動き——突然止まり、方向を変え、跳び上がる——は capricciosoの音楽的な性格を直感的に表している。英語のcaprice(気まぐれ)と同語源。
カプリスという形式
capricciosoは発想記号であると同時に、「カプリス(caprice)」という音楽形式とも関連する。「24のカプリース」は、capricciosoの精神が形式になったものだ。気まぐれで技巧的、驚きに満ちた音楽——これがカプリスの伝統であり、capricciosoという指示語が持つ歴史的な背景だ。
演奏上のアプローチ
capricciosoを演奏する時、「どこで驚かせるか」を意識する。テンポの微妙な揺れ、突然のダイナミクス変化、フレーズの意外な処理——これらを意図的に、しかし「意図している」ように聴こえないように行うこと。自発的に湧き出る気まぐれのように演奏すること。真剣に「適当に」弾くという逆説的な技術が求められる。
気まぐれな動き
代表的な用例
Paganini
24のカプリース Op.1
capricciosoの形式的結晶
Mendelssohn
カプリッチョ 嬰ヘ短調 Op.5
capricciosoな性格
Saint-Saëns
序奏とロンド・カプリッチョーゾ Op.28
タイトル通りのcapriccioso
Tchaikovsky
イタリア奇想曲 Op.45
capricciosoな気まぐれ
Chopin
バラード第3番 変イ長調 Op.47
capricciosoな中間部
Schumann
クライスレリアーナ Op.16
capricciosoな突発性