Nobile
ノービレ
定義
気高く、高貴に、品格をもって。nobilmente(副詞形)と意味は等しいが、形容詞として音楽の性格そのものを規定する。fiero(個人的な誇り)より社会的・文化的な高貴さ——血統や徳性から来る品格の感覚。下品さや卑俗さを排した、格調のある演奏を求める。
nobilmente / fiero との違い
nobilmente(高貴に・副詞)は演奏の仕方を修飾する——「高貴な方法で演奏せよ」。nobile は音楽の性格そのもの——「この音楽は高貴な性格を持っている」。fiero(誇り高く)は個人の自尊心から来る誇り。nobile はそれより外側から与えられた品格——血統・教養・礼節から来る自然な格調だ。
語源
ラテン語 nobilis(知られた・高貴な・著名な)——noscere(知る)に由来し、「よく知られた家柄の」が原義。英語 noble と完全に同語源。音楽における nobile は、貴族的な品格——力みのない自然な威厳、余裕と品位、俗っぽさを寄せつけない高さを指す。
演奏上の意味
力まない。誇示しない。大きな音でも品位を失わない——これが nobile の演奏の核心だ。フレーズは余裕をもって運び、音の立ち上がりは丁寧に。ビブラートは均一に、音量変化は急激でなく曲線的に。粗雑なアクセントや雑な音の消え方を避け、一音一音に格調を持たせる。「王族が歩くように」演奏する。
エルガーと nobile
エルガー「愛の挨拶」や「威風堂々」の中間部旋律にこの性格が最もよく現れる。エルガー自身は自作に「nobilmente」を頻繁に指定したことで知られ、この語の音楽的解釈において最も重要な作曲家の一人だ。「品格ある大英帝国の誇り」——その音楽的表現が nobile / nobilmente の具体像を作ってきた。