Ad libitum
アド・リビトゥム / アド・リブ(略)
自由に
任意でad = to/at / libitum = pleasure
任意でad = to/at / libitum = pleasure
定義
ラテン語で「好みに応じて・自由に・任意で」の意。①テンポやリズムを奏者の自由に委ねる、②その箇所の演奏または省略を奏者に委ねる、③アドリブ演奏(即興)を指示する、の3つの文脈で使われる。
3つの意味
① テンポの自由:a tempoやstrictな拍子から解放し、奏者が自由なテンポで演奏する。カデンツァに書かれる ad lib はこれ。
② 省略可の指示:声部や繰り返しが「任意」であることを示す。オーケストラでは「ad lib」とある声部は奏者数が少ないとき省略できる。
③ 即興演奏:ジャズでの「アドリブ」はこの略語から来ている。
語源と「アドリブ」
ラテン語 ad(〜に向けて)+ libitum(libere「自由にする」の中性過去分詞形)。英語「at liberty(自由に)」と語源的に近い。現代日本語でも「アドリブ」は即興・その場での思いつき演奏の意味で広く使われる。この語はジャズやポップスを経由して「準備なしの即興」のニュアンスが強まった。
カデンツァとの関係
協奏曲のカデンツァは通常「ad libitum」で書かれる。独奏者が拍を持たず自由なテンポで即興的に演奏する。バロック〜古典期のカデンツァは完全に奏者が作曲して演奏することも多かった。現代では既存カデンツァを用いることが多いが、「ad lib」の本来の自由さを意識して演奏することが求められる。
演奏上の注意
「ad libitum」の自由はノーリミットではなく、楽曲の様式と文脈の中での自由。自由と放縦は違う。特にアンサンブル内でのad libはほかの奏者と協調しながら行う必要がある。一人が自由になると全体が崩れる場合があるため、指揮者や首席との事前確認が大切。