速度変化 Italian

Smorzando

スモルツァンド / 略記: smorz.

音を消すように、響きを絶やしていくこと。速度も落ちるが、主役は音量・音色の消滅にある。calando が速度と音量を均等に落とすのに対し、smorzando は「響きが先に消える」感覚が特徴。

語源と本来の意味

イタリア語 smorzare(消す・鎮める・炎を消す)の現在分詞。ろうそくの炎を指で摘んで消すような、能動的な「消滅」のイメージ。俗ラテン語 admortiare を経てラテン語 mors(死)に遡り、morendo(morire = 死ぬ)と語源を共有する。

morendo・calando との違い

morendo が「死んでいく=終止」であるのに対し、smorzando は「音を消す=響きの操作」に重点がある。calando が速度と音量を均等に落とすのに対し、smorzando は音色・響きが先に消え、音楽的な運動(テンポ)が後に残ることがある。

時間 → 速度 音量

演奏者視点での使用感覚

「音を消す」ことが主目的なので、音量のコントロールに意識が集中する。ピアノではペダルをゆっくり離しながら音の残響を消していく感覚。弦楽器では弓圧を抜きながら弦との接触を徐々に断つイメージ。速度はあとからついてくる形になることが多い。

楽曲における役割

セクションの終わりで「音楽の輪郭を消す」効果を持つ。次のセクションへの橋渡しにも使われるため、morendo のように「終止=不帰」ではなく、音が消えた後に別の何かが始まるケースも多い。ロマン派のピアノ曲・歌曲で特に多用。

Schubert

弦楽五重奏曲 D.956 第2楽章

静寂に向かう smorz. — 響きが溶けていく名場面

Chopin

夜想曲集(各所)

夜想曲の終わりに現れる smorz. — ペダルの響きとともに消えていく

Liszt

ピアノ作品各所

劇的なクライマックスの後の急速な消音に smorz. を多用