Calando
カランド
定義
だんだん遅くなりながら、同時に音量も下がっていくこと。速度と音量が均等に収束していく動き。allargandoが「速度↓・音量↑」の拡張であるのに対し、calandoは「速度↓・音量↓」の収縮を意味する。
語源と本来の意味
イタリア語 calare(降ろす・下げる・落ちていく)の現在分詞。もともと「帆を降ろす」「幕を下ろす」という物理的な動作を指す言葉で、音楽においても「落ちていく」感覚を持つ。
一般的な解釈
速度と音量が同時に均等に落ちていく。allargandoとは逆向きのベクトルを持ち、音楽が「収束」「静止」へ向かう動きを表現する。セクションの終わりや、長いフレーズの自然な終結に用いられることが多い。
速度と音量の変化
演奏者視点での使用感覚
速度と音量の両方を同時にコントロールするため、どちらかが先行しないよう注意が必要。弦楽器では弓速を落としながら弓圧も緩める。管楽器では息のスピードと量を均等に減らす。「落ちていく」感覚を作りながら、最後まで音の芯を失わないことが求められる。
楽曲における役割
長いフレーズの自然な終結、楽章の静かな締めくくりに多用される。calandoが書かれた後に a tempo が来ることもあれば、そのまま曲が終わることもある。morendo や smorzando に比べて「終止感」は穏やかで、次の展開への接続としても機能する。
代表的な用例
Schubert
冬の旅 D.911
各曲の終わりで見られる自然な calando — 歌い手と伴奏が一体で落ちていく
Beethoven
ピアノ・ソナタ Op.110 第3楽章
アリエッタの展開部で現れる calando — 再起への静かな準備
Brahms
ピアノ小品集 Op.119
各曲のフレーズ末で用いられる穏やかな収束の指示