速度変化 Italian

Più mosso

ピウ・モッソ / 今より速く

今のテンポより速く演奏すること。più(より多く)+ mosso(動きのある)の組み合わせで、「動きを増して」という意味。accelerando のように「徐々に速くなる」プロセスではなく、書かれた箇所から即座に新しい速いテンポへ切り替える。

accelerando との決定的な違い

accelerando は「そこから徐々に速くなる」プロセスの指示。più mosso は「そこから新しい(速い)テンポで演奏する」状態の指示。accel. がグラデーションであるのに対し、più mosso は即時の切り替え。切り替えの仕方は ritenuto(即座に遅く)の加速版に近い。

どのくらい速くするか

「今より速く」という相対指示なので、具体的なテンポは示されない。どの程度速くするかは文脈と演奏者・指揮者の判断による。直後に Allegro・Vivace 等の新しい速度標語が来ることもあり、その場合は標語が具体的な指標となる。

演奏者視点での使用感覚

「急に速くなる」という変化なので、前のフレーズの最後の音から準備が必要。特に管楽器・弦楽器ではブレスや弓の準備が間に合わないことがある。室内楽では合奏前に新テンポを決めておくか、リーダーがキューを出す。指揮者がいる場合は振りで明確に示される。

楽曲における役割

クライマックスへの突入、再現部での解放感、コーダの加速など、「ここから気分が変わる」合図として使われる。meno mosso とセットで、対照的なセクションを交互に配置するときの構造マーカーにもなる。ロマン派のピアノ曲・管弦楽曲で特に多用。

Brahms

ハンガリー舞曲集

meno mosso との交替による緩急 — più mosso で活力が戻る

Dvořák

スラブ舞曲集

舞曲のリズムが突然加速する più mosso の効果

Schumann

謝肉祭 Op.9

各小品の性格転換に più mosso が機能する