発想記号 Italian

Tempestoso

/ tempesˈtoːzo /

テンペストーゾ

tempest. 発想記号

「嵐のように、激しく荒れ狂って」。tempesta(嵐)から、 自然の暴力性をそのまま音楽の運動に投影した語。 人為的な怒りではなく、抗いがたい自然の力を表す。

furiosoとの違い

furiosoが「人間の怒り」という主体的な感情であるのに対し、 tempestosoは「自然現象としての嵐」という、 人格を持たない外部の力を指す。 furiosoには意志があるが、tempestosoには意志がない—— ただ荒れ狂う、抗えない力そのものだ。

標題音楽の伝統

バロック時代の自然描写音楽から、ロマン派の劇的な 器楽曲に至るまで、嵐は音楽が好んで描いてきた主題の一つ。 急速な音階パッセージ、トレモロ、激しい強弱の交代といった 技法群が、この語と分かちがたく結びついている。

語源

ラテン語tempestas(時節、天候、転じて嵐)に由来。 英語のtempest(大嵐)、temperature(気温、もとは「時節の状態」)と 同じ語根を共有する。 もともとは「時」を意味した語が、荒天を指すようになった。

演奏の核心

パッセージの輪郭を保ちながらも、予測のつかない 自然の動きを思わせる不規則な強弱の波を作ること。 整いすぎた嵐は嵐に聞こえない—— コントロールの中に「制御しきれない感じ」を残すことが肝要だ。

Vivaldi

「四季」より「夏」第3楽章

夏の終わりに訪れる激しい雷雨の描写

Beethoven

ピアノソナタ第17番 ニ短調 Op.31-2

後世「テンペスト」の愛称で呼ばれるようになった作品

Britten

歌劇「ピーター・グライムズ」より間奏曲「嵐」

20世紀オーケストラによる嵐描写の到達点