Rabbioso
ラッビオーゾ
定義
激怒して、狂暴に、狂乱のように。furioso(激しく燃える怒り)より動物的・本能的な怒り——理性の枠をほぼ失い、狂犬のように制御が利かない状態を音楽に求める。語根に「狂犬病(rabbia)」を持つ語だ。
furioso・irato との比較
irato(怒って)は理性の枠内にある憤怒——制御しているからこその凄み。furioso(激怒して)は神話的・原初的なエネルギーの爆発。rabbioso はこの系列の中で最も動物的・非理性的な極点だ——人間が怒りに「食われた」状態、コントロールを失った狂乱の怒り。演奏者に最大限の感情的解放を求める。
語源
イタリア語 rabbia(怒り・憤慨、また狂犬病)→ rabbioso(激怒した・狂暴な)。ラテン語 rabies(狂乱・狂犬病)に由来し、英語 rabies(狂犬病)と同語源。狂犬病の犬の制御不能な狂暴さが語の核心にある——音楽指示として使われるとき、その動物的な激しさを音に転写することを求める。
演奏上の意味
音量を限界まで解放し、音色の美しさより爆発的な力を優先する。アタックを鋭く、音の立ち上がりを暴力的なほど速く。テンポは前につんのめるような衝動——「美しく演奏しない」ことが美しく演奏する以上に難しい。演奏者が自分の楽器に対してある種の「攻撃性」を持つことを許される指示だ。
現代音楽での使用
rabbioso はバロック・古典派ではほぼ使われず、ロマン派以降に登場する語だ。20世紀の表現主義作品に多く見られる。「美しい音で美しい音楽を」という規範を意図的に破る語——音楽が醜さ・暴力・狂乱を直接表現することを許す20世紀美学の体現だ。