発想記号 Italian

Parlando / Parlante

パルランド / パルランテ

語りかけるように、話すように。音楽の歌としての側面を抑え、日常会話の自然な抑揚とリズムで音楽を運ぶことを求める語だ。声楽では歌声と話し声の中間——歌い上げるのではなく、親しい人に語りかけるような音楽の質感が核心となる。

declamato との違い

declamato(朗唱するように)は公的・演説的な語り——聴衆に向けて声を張る、強調型の言葉の扱いだ。parlando はより私的で日常的な会話——隣の人に話しかけるような、大げさな強調のない自然な話し言葉だ。declamato が「舞台俳優の台詞」なら parlando は「日常会話」。声量も parlando の方が控えめで、親密さが前面に出る。

語源

イタリア語 parlare(話す・語る)の現在分詞形——「話しながら」。ラテン語 parabola(たとえ話)に由来し、フランス語 parler(話す)、英語 parley(会談)と同語源。オペラにおける parlante(歌唱と朗読の中間形式)とほぼ同義で使われることが多く、旋律線を維持しながら話し言葉のリズムを採用する演奏を指す。

声楽・オペラでの用法

オペラのレチタティーヴォ(朗唱)と aria(詠唱)の間の性格として理解するとわかりやすい。parlando では旋律の美しさより言葉の自然な流れを優先し、音程はある程度持つが歌声の「丸み」を出さない。ドラマの緊迫した会話場面を音楽的に処理する手段として機能する。

器楽での parlando

ピアノや弦楽器でも parlando の指示が現れる。この場合、各フレーズが「発話」の単位として扱われる——息継ぎに対応するフレーズの区切り、発話の強調に対応するアクセントの配置、会話の間(ま)に対応する休止の取り方が求められる。ノクターンやピアノ曲など、内省的な性格の曲で特にこの語が求められる演奏態度がある。