Focoso
フォコーゾ
定義
燃えるように、火のような情熱で。con fuoco(火をもって)と同義だが、こちらは形容詞形——「火のような気性の」という性格そのものを指す。フレーズ全体に燃えるような内的エネルギーの持続を求める。
con fuoco との違い
con fuoco(火をもって)は「火を持ちながら演奏する」という前置詞句の指示で、動作的なニュアンスがある。focoso は「火のような」という形容詞で、演奏の性格そのものを記述する。実際の音楽上の効果はほぼ同じだが、focoso はより「この人物・このフレーズの気性」を表現するような文脈で現れやすい。
語源
イタリア語 fuoco(火)→ focoso(火のような・気性の激しい)。ラテン語 focus(炉・焦点)が語源で、英語の focus と同語源だ。現代イタリア語でも「focoso」は「情熱的な・血の気の多い」という意味で日常的に使われ、音楽用語として自然に転用されている。
演奏上の意味
focoso の演奏では、フレーズの内側に常にエネルギーが燃えている状態を保つ。アクセントはするどく、テンポは前のめりになりやすいが制御する。長い音符も「燃やし続ける」——持続音の中でクレッシェンドするか、ヴィブラートを積極的に使う。音が止まっても次の音への燃料は切れていない——その間にも炎が燻っている感覚だ。
con impeto・con slancio との関係
con impeto(勢いをもって)は水平方向の突進の力学。con slancio(飛び出すような勢いで)は弧を描く上昇と解放。focoso はその両者の「エネルギーの源泉」——火が内側で燃え続けているために、impeto の突進と slancio の跳躍が生まれる。エンジンが先にあり、その動き方が他の語で表される。