Bravura
/ braˈvuːra /
ブラヴーラ
定義
技巧を誇示するように、力強く華々しく。イタリア語 bravura(勇敢さ・腕前の見事さ)から。演奏指示としては con bravura(技巧的に華々しく)の形で楽譜に現れる。brillanteが「輝き・光沢」を指すのに対し、bravuraは技巧そのものを見せる力強さ・誇示感が核にある。
brillante との弾き分け
brillante は音色の輝きに主眼がある——透明感・粒立ち・音の光沢。bravura はそれよりも「技術的な征服感」が前に出る。難しいパッセージをやすやすと弾きこなし、聴衆に「こんなことができる」と感じさせる誇示。力強さ(f〜ff)を伴うことが多く、brillanteよりどっしりした重みがある。
ロマン派ヴィルトゥオーゾ文化との関係
bravura は19世紀のヴィルトゥオーゾ(名技演奏家)文化と切り離せない。「演奏家が主役になる」演奏会形式の中で、bravuraなパッセージは聴衆を圧倒する「見せ場」として機能した。アリアの「アリア・ディ・ブラヴーラ」(声楽の難技巧アリア)が語源の一つでもある。
演奏者視点
bravuraの演奏に必要なのは、難所を「難しそうに見せない」こと。苦しんでいる顔で弾けば技巧の誇示にならない。易々と弾いているように見せながら、実際には高度な技術がある——その余裕と自信が聴衆への「見せつけ」になる。カデンツァや技術的なコーダに多く使われる。
声楽での用法
アリア・ディ・ブラヴーラ(aria di bravura)はオペラにおける難技巧アリアのことで、素早いパッセージワーク、跳躍、長いトリルなどで歌手の技量を示す曲種。「魔笛」夜の女王のアリアが代表例。この声楽的な「腕前の誇示」がそのまま器楽に転用された。
技巧・力強さの変化
代表的な用例
Liszt
ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178
bravuraなオクターブとスケールが随所に
Paganini
24のカプリース Op.1
ヴァイオリンbravuraの極限形
Mozart
魔笛「夜の女王のアリア」
アリア・ディ・ブラヴーラの代表
Chopin
エチュード Op.25 No.11「木枯らし」
嵐のような連続音型と力強さ