強弱記号 Italian

Pianississimo

ピアニッシッシモ

ppp 記号

pp(ピアニッシモ)よりさらに弱く演奏する指示。消え入るほど弱く、しかし音楽的な意図は失わずに。

ppp の実現

音量を下げることよりも「音が存在するギリギリの状態を保つ」ことが目的。弦楽では弓の速度を極限まで落とし、弓圧はほぼゼロに近づける。管楽では息のスピードを保ちながら量を絞る。ピアノでは鍵盤の底まで押さず、ハンマーがほんの触れる程度で弦をかする。どれも「音を出さない」でなく「音の存在を最小化する」技術。

pppを超える記号

作曲家によっては pppp(4p)や ppppp(5p)まで書く場合がある。Mahler や Tchaikovsky の楽譜に見られる。これらは比較的な意味しか持たず、「pppよりさらに弱く」という意志表示。現実的には奏者の技術の限界に挑む指示。Dal niente(無音から始める)と組み合わせて使われることもある。

アンサンブルでのppp

複数奏者でのpppは「全員が同じ限界を共有する」必要がある。一人だけが本当のpppに達し、他の奏者がppにとどまると、その一人が浮いて聞こえる。pppは全員で「消える方向」に向かう共同作業であり、アイコンタクトと息の合わせが特に重要になる。

語源

イタリア語 piano(静かに・柔らかく)の最上級 pianissimo に、さらに小さい意を示す接辞を重ねたもの。piano はラテン語 planus(平らな・穏やかな)に由来。「p = piano(柔らかい音)」という記号は17世紀後半に器楽で普及した。

Tchaikovsky

交響曲第6番「悲愴」ロ短調 Op.74

第4楽章末尾 — pppを起点に楽譜上はppppppまで達して消えゆく

Mahler

交響曲第9番 ニ長調

第4楽章末尾 — pppからさらに消えていく

Bruckner

交響曲第8番 ハ短調

ppp の長大な準備から fff への爆発